チャットで答えて終わるAIと、業務の成果物まで作り切るAIは別物です。
株式会社イー・トライアドでは、Windows / Mac 向けの業務遂行型AIエージェント「Triad AI Agent」のMVP(試験実装)を開発しました。デモ題材は「様式が揺れる日次集計」ですが、これはわかりやすい一例です。狙いは、RPAやマクロでルール化しきれない属人業務——読む・解釈する・揃える・成果物にする——への汎用適用の可能性を検証することにあります。
本稿は完成版SaaSの発表ではありません。開発・業務組み込みを一緒に進めるための技術サンプルです。
デモ動画はこちら(一例: 様式が違う日次報告の統合集計)
YouTubeで再生する / お知らせ記事
問題設定(集計に閉じない)
現場に残る属人業務には、次のような共通構造があります。
- 入力様式が揺れる — 拠点・得意先・担当者ごとにフォーマットが違う
- 暗黙知が要る — 「だいたいこう読む」「この表記はあの商品」といった経験依存の判断
- 成果物まで人手 — 読むだけで終わらず、表・CSV・報告書など次工程で使える形に仕上げる
日次集計はその一例です。店舗ごとに Excel / メール文 / 手書き写真 / CSV が混在し、税込・税抜や項目名のゆれを人が頭の中でそろえて実績表を作る——といった作業です。
同じ構造は、集計以外にも広く見られます(いずれも「適用しうる領域」であり、本MVPで実装済みの業務テンプレートという意味ではありません)。
- 得意先ごとに癖のある注文書・請求書の打ち込み
- 問い合わせの仕分けと一次回答案の作成
- 報告書・朝会サマリーの作成
- マスタ突合(表記ゆれのある商品名・得意先名)
- 帳票から基幹取込用CSVへの変換
RPAやマクロは「同じ場所に同じ項目がある」前提で強く、様式や解釈が揺れると例外処理が増え、結局特定の担当者に戻ってきます。必要なのは、読む・解釈する・揃える・計画して実行する・検証する・必要なら確認質問する、というエージェント的な遂行です。
デモ=適用例の1つ
まず、公開デモをご覧ください。様式の違う日次報告を渡し、税込でそろえた実績表と朝会向けサマリーまで作成する流れです。
ポイントは、入力側をきれいに揃えてから渡すのではなく、汚い入力のまま渡し、出力側で業務に使える形へ収束させることです。チャットで「こう集計すればよい」と説明するだけで終わらず、ファイルとして成果物を出します。
同じ型が効くもう一つのイメージ(注文書の打ち込み代行)
集計以外への橋渡しとして、次のような業務イメージも想定しています(デモ動画の題材とは別の適用イメージです)。
- 得意先ごとに癖のある注文書(FAX画像 / 独自Excel / 曖昧なメール本文)を受け取る
- 商品マスタと突合し、表記ゆれや欠落を解釈する
- 基幹取込用CSVと、解釈根拠を残したレポートを成果物として出す
「読む → 解釈する → 揃える → 検証する → 成果物にする」という核は日次集計と同じです。だからこそ、本MVPは集計専用ツールではなく、属人業務への汎用エージェント化の試験実装として位置づけています。
MVPスペック
本MVPで検証している構成の概要です。完成品の仕様保証ではなく、技術サンプルとしての現時点の姿です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 形態 | Electron製デスクトップアプリ(Windows / macOS) |
| 実行モデル | ツール実行型(チャットで答えて終わりにしない) |
| LLM | Gemini / OpenAI / Claude / OpenAI互換(ローカルLLM切替可) |
| ツール群 | 約43(ファイル、Excel/CSV、PDF/Word/PPT、OCR/Vision、HTML/Mermaid、検証・質問・成果物提示など) |
| UI | 実行ダッシュボード、質問カード、成果物カード、プレビュー |
特定業務専用の画面を並べるのではなく、汎用ツール群を組み合わせて業務を最後まで遂行する設計です。お客様の入力・判断ポイント・出力先に合わせて、ツールやトリガーを足していく前提です。
アーキテクチャ(簡潔)
デスクトップ上で、次のようなフェーズを進みます。
understanding → analyzing → gathering → planning → executing → verifying → done
- Electron(main / preload / renderer)でローカルファイルとUIを扱う
- 完了前に
verify_resultによる検証ゲートを置き、「それっぽい回答」で終わらせない - セキュリティ面では、workspace内の PathGuard、コード実行サンドボックス、APIキー暗号化などを試験実装
細部は業務組み込み時に調整しますが、「計画して実行し、検証してから完了する」流れをエージェントの骨格にしています。
拡張性(核は共通、接点は個別)
いま試験実装しているもの(例)
- 添付ファイルからの実行
- Office / OCR / Vision 系ツール
- フェーズ管理と検証ゲート
- クラウドLLMとローカルLLMの切替
お客様向け追加開発として考えられるもの(未実装の拡張例)
次は現時点のMVPに標準搭載している機能ではありません。今後の拡張例・個別開発の候補です。
- メール受信やFAX取込などのトリガー
- Googleスプレッドシート等への常時書き戻し
- Slack / Teams への通知
- 基幹システムAPI連携
- 承認フローやMCP連携
整理すると、核(読んで揃えて作って検証する)は共通、接点(トリガー / 出力先 / 業務知識)は個別開発です。したがって適用範囲は集計に閉じず、お客様の属人業務へ横展開しうる想定です。
相談の入口
完成品の導入案内ではなく、試験実装を起点にした共創・受託の入口です。
- 自社の属人業務をエージェント化できるか相談したい
- RPAやマクロで折れた工程を、エージェント前提で再設計したい
- 入力元・出力先・確認フローを、現場に合わせて組み込みたい
デモ動画: https://youtu.be/eXDoDYWaw5M
関連のお知らせ: AIエージェントの試験実装を公開
ご関心のある方は、お問い合わせ よりご連絡ください。